近年、ネットショップを構築するためのサービスが多数登場していますが、そのなかでも注目されているサービスの一つとして、今回は「Shopify(ショッピファイ)」を紹介します。これからネットショップを構築するにあたり、どのプラットフォームを選ぶべきか悩まれているお客様も多いのではないでしょうか。 そんなプラットフォームの一つの選択肢として、Shopifyの概要からメリット・利用方法・注意点などを解説し、あわせて国内での事例を紹介します。
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記事監修者の紹介
真中 淳一
墓石、屋根、外構、防水工事の一括見積メディア運営を6年間経験致しましたので、お客様対応からポータルサイト一からの立ち上げの経験は豊富にあります。また、その他にもオリジナルCMS開発、予約システム、プラットフォームのディレクターも5年経験を積んでいるので、幅広いシステム開発の要件の知識やノウハウもあります。これからホームページを作成されるお客様のお力になれれば幸いです。
1. Shopifyとは?→クラウド型ECプラットフォーム
Shopifyは、世界最大規模のクラウド型ECプラットフォームです。日本では2017年からサービスが提供され始めましたが、あまり馴染みのないというお客様も多いかもしれません。しかし、世界中で100万件を超えるECビジネスの実績があり、世界シェアトップのECプラットフォームとなっています。
ShopifyはASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)の一種ですが、高いデザイン性とカスタマイズ性が特徴です。そのほかにも多くの特徴やメリットがありますが、詳細は後ほど紹介します。
2. Shopifyでできること
Shopifyを利用すると、具体的にどのようなことができるのかを紹介します。あわせて、その他のASPとShopifyの違いについても見ていきましょう。
2-1. さまざまなショップが作れる
Shopifyを利用すれば、さまざまなネットショップが構築できます。Shopifyでは通常の在庫がある商品の販売だけでなく、デジタルコンテンツの販売や、ドロップシッピングにも対応。
さらに、さまざまなチャネルと連携することが可能であるため、外部サービスと連携した商品販売が可能です。Shopifyが対応しているチャネルの例としては、次のようなものがあります。
・Facebook ・Instagram ・Amazon ・Google Shopping など
2-2. 越境ECの構築
Shopifyは世界中で利用されているため、多言語・他通貨設定に対応しています。そのため、越境ECの構築も比較的簡単に行えるのです。 また、さまざまな国の税率にも対応し、海外発送の手配も簡単にできるため、世界規模でネットショップを展開したいと考えるお客様には、特におすすめできるポイントです。
2-3. SEO対策、SNSマーケティング
Shopifyはマーケティングのためのツールも提供しています。たとえば、集客のためにShopifyに組み込まれているブログを作成したり、SEOツールを使ってSEO対策をしたりすることが可能です。 商品を宣伝するための広告出稿や、メールマーケティング機能など、マーケティングに欠かせない機能も充実しています。
2-4. 他ASPとの違いは?
Shopifyは無料のお試し期間がありますが、基本的には月額課金で利用します。国内のASPのなかには、無料で利用できるものもありますが、その分出品商品数に限りがあったり、ストレージ制限があったりします。しかし、Shopifyではそのような制限がありません。
また、Shopifyは70種類以上のデザインテンプレートから選択でき、さらにアプリ(プラグイン)の追加によってさまざまなデザインや機能の追加が可能です。カスタマイズ性の高さは他ASPとの大きな違いと言えるでしょう。
さらに、全世界175か国で利用されていることから、世界規模のネットショップが構築しやすい点も、国内ASPとの違いです。
3. Shopifyを利用するメリット
ここでは、Shopifyの特徴とあわせて利用するメリットを紹介します。ネットショップを構築する際のプラットフォーム選びの参考となる項目ですので、一つずつ見ていきましょう。
3-1. コストを抑えてECサイトを作れる
具体的な料金プランは後ほど紹介しますが、Shopifyは月額29米ドル(約3,000円)から利用できます。無料で利用できる国内ASPサービスではさまざまな制限が存在しますが、Shopifyではそのような制限がありません。
また、デザイン性やカスタマイズ性が非常に高く、同様の特徴を持つECサイトの構築方法としては、オープンソースやパッケージ、フルスクラッチなどが挙げられるものの、いずれの方法よりも簡単でコストを抑えて作れます。
その他のECサイトの構築方法については、「ゼロから学ぶ!ECサイトの作り方を4ステップで解説!方式の選び方や注意点まで」で詳しく解説していますので、こちらをご参照ください。
3-2. デザインが豊富
ASPを利用する場合、デザインが限られているため独自性の高いECサイトの構築が難しいものです。しかし、Shopifyは70種類以上のデザインテンプレートから選択でき、細かい部分のカスタマイズも容易に行なえます。
また、SNS連携や配送手配、マーケティング機能などのアプリ(プラグイン)は2,000種類以上公開されており、必要に応じて機能のカスタマイズも可能です。
デザイン性とカスタマイズ性が高く、独自性の高いECサイトの構築が行える点は、Shopifyのメリットの一つと言えます。
3-3. 越境ECに強い
Shopifyと他ASPとを比較した際の最大のメリットとなり得る部分が「越境EC」でしょう。 インターネットには国境といった垣根はないものの、言語や通貨による問題によって国をまたいだ商売は難しいものでした。
しかし、Shopifyは世界175か国で利用されているため、簡単に多言語・多通貨対応が可能であり、越境ECに強いという特徴を持ちます。越境ECのためのアプリも多数用意されているため、海外への販売も視野に入れたECサイトを構築する際には、非常に強力なメリットとなります。
3-4. SNS連携でき集客力がある
ECサイトで売上を伸ばすためには、SNSとの連携は欠かせません。いまや世界中のほとんどの人がSNSを利用しており、SNSマーケティングの重要性は非常に高まっています。
Shopifyでは、アプリなどによってFacebookやTwitter、Instagramなどの著名SNSとの連携が可能です。たとえば、Facebookのページから直接Shopifyで登録した商品を販売したり、Instagramの投稿から直接購入できたりするなど、SNS連携によって販売チャネルを増やすことができます。
ECサイトに直接訪れて購入する顧客だけでなく、SNS利用者をそのまま購入客に変えることができ、非常に集客力が高い点はメリットといえるでしょう。
3-5. 維持管理が楽に行える
ShopifyはASPであるため、HTMLやCSSなどの専門的な知識がなくともECサイトを構築できます。また、専門的な知識を持っていれば、ストア内のHTMLやCSSへのフルアクセスが可能であるため、細かいカスタマイズも可能です。
ほかにも、Google広告などへの広告出稿や、SEO施策などが標準で行えるようになっており、Googleアナリティクスとの連携や商品レポートの作成など、マーケティングやECサイト運営の分析も簡単に行えます。
オープンソースやフルスクラッチの場合は、サーバーの維持管理やアプリケーションの脆弱性対策など、ECサイトを維持管理するために非常に専門的な分野の知識が必要です。しかし、Shopifyではそのような知識がなくとも維持管理が楽に行える点は、大きなメリットといえるでしょう。
4. Shopifyの利用方法
Shopifyの利用を開始するまでの手順を5つのステップに分けて解説します。あわせて、Shopifyの料金体系についても見ていきましょう。
4-1. 利用方法1:メールアドレスで登録
Shopifyの登録はメールアドレスだけで行えます。90日間は無料で利用できるため、使用感を確かめるためにもまずは登録して確かめてみるとよいでしょう。
Shopify の公式ホームページにアクセスし、メールアドレスを入力して「無料体験をはじめる」ボタンをクリックします。
その後、ログインパスワードとストア名、ストアURLを入力するだけで登録は完了します。 ストア名やストアURLは、すでに存在するものは利用できません。
4-2. 利用方法2:ストアの初期設定を行う
ストアの初期設定では、「あなた自身についての情報入力」と「ストアの住所登録」を行います。 「あなた自身についての情報入力」はスキップすることも可能ですが、「ストアの住所登録」はしっかりと行いましょう。 ストアの住所には、事業を構えている場所などの拠点の住所を入力します。自宅が事業拠点となる場合は、自宅の住所を入力しましょう。
必要項目の入力が完了したら「ストアに入る」ボタンをクリックして、ストアの管理画面に遷移します。
4-3. 利用方法3:商品を出品する
ストアの管理画面ホームから、「商品を追加する」ボタンをクリックして商品を出品します。
ここでは、次に挙げるような情報を入力しましょう。
・商品タイトル ・商品説明 ・販売チャネル ・分類 ・メディア(商品画像) ・価格(割引設定可能) ・在庫数 ・配送設定 ・関税情報 ・バリエーション ・SEO設定
商品説明では、HTMLによって文字を装飾することが可能です。また、複数の販売チャネルを設定することで、対象の商品をどの販売チャネルで販売するかも選択できます。
配送設定では、配送料や関税などの情報を設定できます。ダウンロードコンテンツなどの場合は、そのような設定が不要であるため、設定しないようにすることも可能です。
さらに、検索エンジンによって商品ページが検索された場合のタイトルやディスクリプションなどの設定も行えるようになっています。必要な情報を入力したら、右上の「保存」ボタンで商品を出品しましょう。
4-4. 利用方法4:サイトの外観を設定する
商品登録後、再びストアの管理画面ホームに戻り、「テーマをカスタマイズする」を選択します。
テーマのカスタマイズ画面では、現在利用中のテーマを直接カスタマイズしたり、テーマライブラリーから新しいテーマを適用したりすることが可能です。
利用中のテーマをカスタマイズする場合、HTMLやCSSなどの専門的な知識がなくとも、実際のページを見ながら直感的にカスタマイズすることができます。
コンテンツの表示順序もドラッグ&ドロップで簡単に変更できるため、自在にデザイン変更が行なえます。また、より細かいカスタマイズを行いたい場合は、「テーマアクション」-「コードを編集する」を選択すると、HTMLやCSSを直接編集することが可能です。
4-5. 利用方法5:決済・配送を設定する
最後に、決済と配送の設定を行いましょう。
画面左下の「設定」から設定画面を開き、「決済」「配送」の設定を行います。 決済の設定画面では、Shopify payments、PayPal、amazon Payなどの設定ができ、その他の外部決済サービスと連携させることも可能です。
配送の設定画面では、配送料の設定などが行なえます。ストアと配送業者やアプリを連携しておくと、自動的に配送料の計算を行うことも可能です。そのほかにも、荷物に同梱されることの多い明細表のテンプレートのカスタマイズなども行えます。
決済と配送に関する設定は、ストアの利用者にとっても非常に大切な内容です。慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、一つずつ確実に設定を行いましょう。
4-6. Shopifyの料金体系
Shopifyは新規登録から90日間は無料で利用できます。無料トライアル期間の終了後は、次に挙げるプランから選択しなければなりません。
項目 | ベーシックプラン | スタンダードプラン | プレミアムプラン |
月額料金 | 29米ドル | 79米ドル | 299米ドル |
ネットショップ機能 | ○ | ○ | ○ |
スタッフアカウント数 | 2 | 5 | 15 |
プロフェッショナルレポート | × | ○ | ○ |
カスタムレポートビルダー | × | × | ○ |
外部サービスの計算済み配送料 | × | × | ○ |
クレジットカード手数料(国内) | 3.4% | 3.3% | 3.25% |
クレジットカード手数料(海外/AMEX) | 3.9% | 3.85% | 3.8% |
Shopifyペイメント以外の決済手数料 | 2.0% | 1.0% | 0.5% |
どのプランであっても、ECサイトを運営するための基本機能は利用可能です。最も安価なベーシックプランやスタンダードプランの場合は一部機能に制限がありますが、大規模なECサイトでなければ問題ないでしょう。その他にはスタッフアカウント数や手数料のパーセンテージに多少の違いがあります。
また、Facebook上で商品販売を行うための最小限の機能を提供する「ライト」では、月額9米ドルから利用可能です。お客様の構築するECサイトの規模に応じて、適切なプランを選択しましょう。
5. Shopifyの国内事例
実際にShopifyを活用した事例を知りたいお客様も多いのではないでしょうか。ここでは、国内のShopify活用事例をいくつか紹介します。Shopifyを使ったECサイトをイメージするためにご活用ください。
5-1. ゴーゴーカレー公式通販
金沢カレーのチェーン店である「ゴーゴーカレー」の公式通販ホームページでは、Shopifyを利用しています。ホームページの構成は非常にシンプルですが、ネットショップに必要な要素がすべて詰まっているホームページになっているといえるでしょう。
ゴーゴーカレー公式通販のホームページはレスポンシブデザインに対応しており、スマホでもパソコンでも表示が最適化されています。もちろん、レスポンシブデザインもShopifyを利用すれば、簡単に実現することが可能です。
支払い方法はクレジットカードやPayPal、amazon Pay、Apple Pay、コンビニ払いに対応しており、多彩な支払い方法が選択できる機能もShopifyを利用しているからこそだと言えます。
5-2. KURAND
KURANDはお酒の通販サイトであり、オープンから半年でECサイトのプラットフォームをShopifyに変更しています。KURANDがShopifyを選択した理由として挙げていることが「海外販売の想定」でした。
Shopifyは多言語・他通貨に対応しているため、海外販売(越境EC)に強い特徴を持っています。さらにKURANDへのインタビューでは、多くのアプリを活用してホームページを運営できるため、開発業務が特定のエンジニアに属人化することがない点も評価しているとのことでした。 また、ユーザー属性などのデータが管理画面上から確認できるため、データ収集が容易になったとのこと。
KURANDはすでに台湾・香港向けのECサイトを作成しており、これから越境ECを実現したいお客様は、参考にしてみてはいかがでしょうか。 台湾・香港向けKURANDのホームページはこちら
参照元)自由で楽しいお酒との出会いを 日本のお酒に新しい価値を造り出すKURANDの想い(Shopifyブログ)
5-3. Furbo
Furboはドッグカメラの商品名であり、Shopifyを活用してFurboの専用ECサイトを展開しています。複数の商品を販売するECサイトではなく、1商品の専用ECサイトの構築事例として参考にするとよいでしょう。
また、Furboでは「ブラックフライデー」や「サイバーマンデー」(BFCM)に力を入れており、Shopifyは一つの販売チャネルとして活用しています。Amazonにも商品を出品しており、広告の出稿先などに応じて販売チャネルを使い分けているとのこと。
BFCMの際には、顧客の動向に合わせてAmazonとShopifyの販売台数比率などを調整しながら予算を変更しています。Shopifyは単純なECサイトの構築だけでなく、さまざまな販売戦略に基づいたECサイト・ホームページの構築が可能であることがわかる事例といえるでしょう。
参照元)日本国内でブラックフライデーのセールで大成功! ドッグカメラを販売するFurbo(ファーボ)の戦略(Shopifyブログ)
6. Shopifyを利用する上での注意点
ECサイトを構築する際には非常に魅力的なShopifyですが、いくつか注意しなければならない点があります。ここでは、Shopifyを利用する上で覚えておかなければならない注意点を紹介しますので、一つずつ見ていきましょう。
6-1. 完全日本語対応ではない
Shopifyはカナダ発のサービスであり、もともと日本語には対応していませんでした。2018年以降は積極的に日本語対応が進められていますが、国内のASPと比べると完璧に対応しているとは言い切れません。
特に技術的な部分は日本語化されていないことが多いため、注意が必要です。 しかし、管理画面や基本的な操作はしっかりと日本語化されており、カスタマイズも直感的に行えるため、大きなデメリットにはならないでしょう。
6-2. 日本向けの拡張アプリが少ない
Shopifyでは拡張アプリを導入することで、配送や決済などの機能を追加することができます。しかし、日本独自のシステムに合わせた拡張アプリはまだ多くありません。 たとえば、冷蔵冷凍配送や熨斗サービスなどは拡張アプリを導入するだけでは実現することが難しいでしょう。もちろん、詳細にカスタマイズすれば対応できますが、日本向けの拡張アプリが少ない点は注意が必要です。
6-3. サポート体制が弱い
Shopifyでは24時間体制のサポートがありますが、電話によるサポートはありません。カスタマイズや運用中の不明点について電話で確認したいというお客様も多いと思いますが、基本的にはメールやチャットによる問い合わせとなる点は注意が必要です。
Shopifyの日本語サポートでは、コミュニティ・メール・Twitterによる問い合わせが可能です。もし英語が扱えるのであれば、Shopifyサポートと直接チャットによる問い合わせもできます。
サポート体制に関しては、今後改善されることが期待されますが、現状は国内のサービスと比べるとサポート体制は弱いといえるでしょう。
7. まとめ
Shopifyは世界最大規模のクラウド型ECプラットフォームです。世界中で利用されており、175カ国で100万サイト以上の実績があります。 ASPの一種ですが、高いデザイン性とカスタマイズ性が特徴であり、特に越境ECの構築に適したサービスです。
Shopifyは他のASPと比べるとデザインが豊富であり、SNS連携ができる点が大きな特徴となります。メールアドレスを登録するだけで、90日間は無料で利用できるため、一度試してみてはいかがでしょうか。
また、Shopifyを利用したECサイトの構築・運用を請け負う制作会社も多く存在します。比較的容易に扱えるShopifyですが、詳細なカスタマイズや機能追加などは複雑化する可能性があり、サポート体制も盤石とは言いづらいため、外注化も一つの手段として考えられます。
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