初めてのEC出店を考える場合、人気の手法としてよく採用されるのがECモール出店です。
特に楽天市場を使ったECモール出店は、その知名度の高さから多くの出店者に利用され、ECデビューの足がかりとして人気の高い手法です。
今回はそんな楽天市場の利用に伴う必要な手続きや費用、そしてその魅力や課題についてもご紹介していきます。
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記事監修者の紹介
真中 淳一
墓石、屋根、外構、防水工事の一括見積メディア運営を6年間経験致しましたので、お客様対応からポータルサイト一からの立ち上げの経験は豊富にあります。また、その他にもオリジナルCMS開発、予約システム、プラットフォームのディレクターも5年経験を積んでいるので、幅広いシステム開発の要件の知識やノウハウもあります。これからホームページを作成されるお客様のお力になれれば幸いです。
1. 楽天市場とは
楽天市場は、日本最大級のECプラットフォームの一つで、その会員数は1億人を超えているなど、誰もが一度は聞いたことのあるECサイトとなっています。
1-1. 日本最大級のモール型ECサイト
楽天市場は公式サイトにおいても「インターネット通販 シェアNo.1」を掲げていますが、その称号に恥じぬ影響力を有しています。
2019年度の楽天ECモールにおける国内流通総額は、約3.9兆円にものぼり、伸び率は13.4%をマークするなど、国内でのEC取引の拡大に大きく貢献している様子がわかります。
参考:ネットショップ担当者フォーラム「楽天の国内EC流通総額は約3.9兆円で、伸び率は13.4%【2019年度の実績まとめ】」
出店件数も5万件近い数になっており、伸び率も6.1%と、順調な推移を見せています。
楽天はモール型ECと呼ばれる方式を採用しているプラットフォームで、厳密に言えば楽天本体は物品の販売を行なっているわけではありません。
彼らが担当しているのは出店者へ「楽天市場」のテナントの提供で、そこで発生した取引から手数料を徴収し、出店料を受け取ることで利益を得ているわけです。
この仕組みを利用することのメリットについては後述するとして、ともかく小売業者のEC展開を簡単に実現してくれるこのサービスは、多くの人にとって魅力的なものとなっています。
1-2. 初めてのネットショップ開業に必要なツールが揃う
楽天市場が多くの業者のネットショップ開業における足がかりとして選ばれている理由としては、場所だけでなく、ECに必要なツールを全て揃えてくれている点にあります。
通常のショッピングモールに例えて考えてみましょう。ショッピングモールは一般的に、空いているスペースを提供するだけで、それ以外のサポートなどには消極的なものです。
しかし楽天市場が提供するサービスは、出店スペースを確保するだけでなく、陳列用の棚や店舗のデザイン、決済用のレジや広告まで、必要最低限以上のものとなっています。
事業者のEC化に必要な場所の提供だけでなく、ネットショップとして成功するためのツールも授けてくれるのは、楽天ならではの厚遇と言えるでしょう。
初めてのECとなると、実店舗とは勝手が異なるため、右も左もわからないというケースは多いものです。
多くの人がECデビューに楽天市場を利用するのは、このようなサービスの充実も、その理由の一つとして挙げられるのです。
2. 楽天市場への出店で得られるメリット
続いて、楽天市場への出店が、どのようなメリットをもたらしてくれるかについて、見ていきましょう。
2-1. 圧倒的なユーザー数
一つ目は、何と言っても圧倒的なユーザー数が、集客に大きな影響を与えてくれるという点です。
前述のように、楽天市場は出店件数が5万件近い数字となっているということもあり、同業他社も多く、非常に競争が発生しやすい環境とも言えます。
しかし、それにも増して多いのが楽天利用者の数です。ユーザー数は1億人を優に超えており、楽天市場のネット通販シェアは国内1位であることから、非常に多くの訪問者を有していることがわかります。
全ての人が自分の店舗を訪れてくれるとは限りませんが、多くの人が回遊しているプラットフォームである楽天市場は、それだけ自社の商品にも目を留めてもらう機会も多いということです。
楽天の商品リストにおいて上位に表示されることがあれば、瞬く間に注文や問い合わせが増加するということもあります。
自社ECでは中々得られないような爆発的な集客も、楽天市場では早期から狙うことができます。
2-2. リピーターの獲得が容易
また、楽天市場はそのほかのモール型ECよりも、リピーターの獲得が容易である点も注目されています。
例えば、Amazonと楽天市場を比較してみましょう。
Amazonもまた楽天市場と同様モール型ECを採用するプラットフォームですが、ここではAmazonが直接商品を販売するケースも見られます。
Amazonは自社プラットフォームを第三者にも提供するだけでなく、自社でも販売を行うため、購入者は「Amazonで買った」という印象が強く残りやすい設計となっています。
一方、楽天市場はあくまで出店サポートに徹底しているため、楽天が直接商品を販売することはありません。
購入者からは「楽天市場の〇〇というお店で買った」ということを覚えてもらいやすい設計になっているので、自社ブランドを比較的有効活用することができるのです。
出店者のブランドを生かすためのさらなる施策として、楽天市場はメールマガジンの配信も行われています。
Amazonもメールマガジンは届きますが、あくまで商品の紹介にとどまり、出店者が直接購入者へメルマガを送信することはできません。
一方楽天市場は購入者へ出店者がメルマガを送ることができるため、より顧客との深い関係を築いていくことも可能になっているのです。
2-3. 楽天ブランドによるサポートが得られる
楽天市場では、ネットと現実を問わず、様々な業種で展開される楽天ブランドの恩恵を受けることも可能です。
例えば、楽天のオリジナルキャッシュレス決済サービスである「Rakuten Pay(楽天ペイ)」はその代表例と言えるでしょう。
楽天ペイはコンビニや取扱店舗など、いわゆる街の実店舗で使える決済サービスとして誕生しましたが、このサービスは楽天市場においてももちろん使用することができます。
普段から楽天ペイを使用しているユーザーは、ポイント還元なども得られるということから、楽天ペイをネットでも使うことを好みます。
そこで、楽天市場での消費も増えていき、アクティブユーザーの数も増え、必然的に楽天に出店する全ての店舗における集客増加も期待できるというわけです。
実店舗とECの両方の展開を考えている方は、楽天ペイを店舗でも使えるようにしておけば、相乗効果が見込めます。
楽天経済圏が拡大すればするほど、出店者の集客にも良い影響を期待することができるのは、魅力の一つとして大きいでしょう。
3. 楽天市場への出店に伴う作業
続いては、楽天市場への出店に伴う作業についてです。
作業とは言っても、実店舗のそれに比べれば非常に何度が低く、インターネット申し込みですぐに進めていくことができるのが魅力です。
3-1. 手続きはネットで進行
これまでの実店舗の開店にあたっては、テナントを見て回るために不動産屋をめぐり、開店となれば役所に書類を提出するなど、とにかく移動やその他手続きにかかる時間がかかっていました。
しかし、楽天市場はオンラインでの出店となるため、基本的には申し込み手続きをネットで進行することが可能です。
本人確認などのため、自宅や事務所で手紙を受け取ると言った作業や、何らかの書類を返送するケースもありますが、それを加味しても手続きに関わる負担は非常に小さいと言えます。
手続きは、主に3ステップに分かれます。
一つ目に出店申し込み、二つ目に開店準備、三つ目にオープンです。
出店申し込みに際しては、応募フォームに則って必要事項を記入していくだけで完了するため、難しい作業は必要としません。
申し込み送信後、店舗運営システム(RMS)の利用が可能となるので、ここから開店の準備を進めていくことができます。
ここまで、申し込み開始から2週間~1ヶ月程度の日数を要します。
二つ目に開店準備です。RMSが利用できるようになったら、楽天市場内に自分の店舗ページを作り、決済システムや配送の準備を整えます。
同時にオープンに伴う審査もこの段階で受けることになるため、実際のオープンまではさらに数週間の日数を要します。
審査が通れば、いよいよ開店です。サイトの使い方を覚えながら、EC運営を進めていきましょう。
3-2. 楽天による出店コンサルタントを受けることも
楽天市場では誰でも気軽にEC出店ができるよう、手続きを行えば気軽にネットショップを始めることができます。
ただ、ECの知識がないのにも関わらず、ツールだけ渡されたところで、せっかくのサービスを有効活用することはできません。
そこで活用したいのが、楽天が公式に提供しているコンサルタントサービスです。
新規出店に伴う手続きの不明点や、出店に伴う不安など、様々な疑問に答えてもらうことができます。
あるいは、店舗オープンに伴うwebページ作成のアドバイスや、マーケティング知識や売上分析を通じたECコンサルタントなど、開業から運営に至るまで、あらゆる相談に乗ってもらうことが可能です。
楽天 ネットショップ運営サポートはこちら
相談は窓口やメールのほか、電話によるサポートも受けることができます。相談内容やシチュエーションに応じた手段で、有効活用していきましょう。
3-3. 出品審査について
出店申し込みに次ぐ出品審査ですが、こちらは取扱商品などについての取り決めがあるため、注意が必要です。
まず、楽天市場では売買が禁止となっているカテゴリの製品がいくつかあるため、必ずチェックしておきましょう。
基本的には公序良俗に反するものや、偽ブランド品、期限切れ医薬品などとなっています。
詳しくは、公式サイトに掲載されている品目をチェックし、取引が可能かどうかを調べておくようにしましょう。
また、古物取り扱いや酒類の販売など、免許が必要な商品については、審査の際に書類の提出を求められます。
合わせて商材の写真なども送る必要があるため、しっかりと用意しておくようにしましょう。
3-4. 売り上げ分析・施策の導入も運営に必要
楽天市場を利用する際に使用するシステムが、先ほどご紹介した店舗運営システムの、RMS(Rakuten Marchant System)です。
RMSは店舗ページの構築に使用するシステムですが、それだけではありません。
サイト運営にあたっての受注管理やデータ分析など、数字を管理する上でも有効なデータを提供してくれる、優れたシステムとなっています。
ただ、これらのサービスを利用で可能できるのにも関わらず、運営者が適切なデータの取り扱い方法を知らないということでは、せっかくの機能を活かしきることはできません。
例えばサイトへのアクセス数や、訪問者がどのような検索キーワードでサイトにたどり着いているのかなどは、自社サイトを訪れている人の潜在的なニーズを把握するのに役立ちます。
彼らが探している商品を、こういったデータから導き出せるようノウハウを理解しておくことで、ECの運用は格段に効率的になっていきます。
楽天ではECコンサルタントのサポートを受けられるサービスも定子湯しているため、積極的に運用していくと良いでしょう。
4. 楽天市場への出店の前に気をつけたいポイント
最後に、楽天市場への出店を考える上で、あらかじめ気をつけておきたいポイントについて見ておきます。
4-1. 楽天市場の出店に伴う費用について
一つ目は、楽天市場の出店に伴う費用についてです。
楽天市場は出店料と購入手数料の二つが主に発生するため、売り上げをそのまま自社の懐にしまい込むということはできません。
楽天市場を利用する際は、費用対効果をしっかりと計算し、運用していく備えが必要となります。
出店費用については、いくつかのプランから選ぶことができます。月額約2万円、5万円、10万円の3つのプランがあり、システム利用料はプランに応じて異なります。
月額費用が大きいほど出品可能点数や画像容量は大きくなり、手数料は小さくなるというシステムを採用しています。
そのため、長期での運用を考え、多くの出品を想定している場合は、月額料金が高額なものを選ぶ方が割安となるケースが多いです。
楽天では運営方針に見合ったプランの診断も、簡単に受けることができるため、利用してみるのも良いでしょう。
4-2. 価格競争に飲み込まれる可能性も
楽天を利用する上で二つ目の懸念は、価格競争が発生しやすいという点です。
モール型ECはどれもそうなのですが、出店数が多く、競合が生まれてしまいやすい環境であるため、同一の商品を扱う場合は顧客の取り合いとなってしまいます。
また、少しでも安い価格の商品が検索上位に上がって来やすいということもあり、価格を楽天のトレンドに合わせなければ、集客は望めません。
価格面での強みが薄い場合は、商品のユニークさや自社ブランドの強みを生かすなど、他の施策を検討する必要があります。
4-3. 自社ブランドを活かしにくい
自社ブランドで言うと、楽天市場もまた、自社ECサイトに比べれば、ブランドを生かしづらいプラットフォームであることは間違いありません。
Amazonよりも自社ブランドが生きやすいと説明した楽天ため、ですが、こちらも結局はモール型ECである、強烈な楽天ブランドを前提としたビジネスを行う必要があります。
自社ならではのブランドを生かした販売施策も、楽天ブランド参加では効果が薄まってしまう可能性があるため、思ったようなブランディングを進められないかもしれません。
楽天市場においては、あくまで楽天傘下の小売店として活動することが求められます。
4-4. 脱ECモールも検討しておく
自社ブランドを生かした施策で商品を販売していきたい場合、最終的には脱ECモールを考えておく必要はあるでしょう。
楽天はある程度出店者に配慮したブランディングの余地を残しておいてはくれているものの、楽天色の強さをかき消すことはできません。
自社ブランドを積極的にインターネットで進めていきたい場合、自社ECの制作も視野に入れておいた方が良いでしょう。
一つの案としては、軌道に乗るまで楽天市場を利用、固定客がついたところで、自社ECに切り替えるという手法が挙げられます。
楽天はブランドをアピールするのが難しい場とはいえ、SNSなどのその他サービスを積極的に活用することで、しっかりと固定ファンを確保していくことはできます。
情報発信を頻繁に行い、TwitterやInstagramなどからの流入が大きくなったところで自社ECに切り替えていけば、固定客がついた状態での独立が可能です。
楽天以外のサービスも上手に運用しながら、ネットショップ運営を進めていくことが重要です。
5. まとめ
楽天市場は日本でも有数のモール型ECで、Amazonよりもはるかに手厚いサポートを受けながらECを始められる、便利なプラットフォームです。
自社ECの方針や商品との相性、そしてコストパフォーマンスをしっかりと計算し、効果的な運用を進めていきましょう。
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